警察から呼び出しを受け事情聴取をされた後で逮捕されるのか
滋賀の弁護士の安田です。
「警察から事情聴取したいという電話が掛かってきたんですが、事情聴取後に逮捕されるのですか」というご相談をお受けすることがあります。
身体を拘束されないまま捜査が進む事件を一般的に在宅事件(ざいたくじけん)と言います。
逮捕には、①通常逮捕②緊急逮捕③現行犯逮捕があり、裁判官からあらかじめ逮捕状の発付を受けて行う①通常逮捕が逮捕の原則的形態です。
通常逮捕を行うためには、逮捕の理由(罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由)と逮捕の必要性(逃亡するおそれや証拠を隠滅するおそれ)が備わってなければなりません。
こういうご相談のケースで、「事情聴取後に逮捕されるのですか」と聞かれた場合の回答は難しいです。
逮捕の理由と必要性が備わっており警察が逮捕したいと強く考えているのであれば、裁判所から逮捕状の発付を受けたうえで、例えば、早朝自宅に複数の警察官が来て逮捕したりします。
そうすると、こういうご相談のケースで、相談者の方が定職についており、被害者の方と事件前に面識がなかったりする場合だと、逮捕される可能性は低いのかなあとは思います。
ただ、最近報道された松山市内の20代の女子大生が身に覚えのない窃盗事件で逮捕された事件では、逮捕前に2回警察から事情聴取を受けていたようです(この件は、裁判官が勾留請求を却下し、女子大生は不起訴処分になったようです)。
こういう報道を見てしまうと、逮捕される可能性はありますとしか回答できないように思います。
そして、警察の逮捕から検察官送致は48時間以内に行わなければならず、検察官送致から裁判官に対する勾留請求は24時間以内に行わなければならないことになっております。
しかし、私が主に活動している大津地方裁判所本庁管内ですと、大津地方検察庁の横に大津地方(簡易)裁判所があることも影響していると思いますが、逮捕されますと、逮捕の翌日に勾留決定(検察官送致→勾留請求→勾留決定)となるケースが多いです。
そのため、逮捕から勾留決定までの活動時間は非常に限られています。
元々低いと思われる逮捕の可能性を少しでも低くするのであれば、私選弁護人を選任して、ご家族の身元引受書や弁護人選任届等を警察に提出すること等が考えられます。
また、罪を犯したことが間違いなくて、被害者の方がいらっしゃる事件であれば、私選弁護人を選任して、被害者の方との示談交渉を行うことも考えられます。
しかし、被害者の方と事件前に面識がなかったりする場合だと、警察を通じてしか被害者の方と接触できなかったりします。
被害者の方やご家族のご意向次第のところがありますので、示談交渉すらできないケースもあります。
在宅事件においては、このようなことをご理解のうえ、弁護士に依頼するかどうかを検討頂きたいと思います。