借金を返せなくなった方は適切な手段を選択して下さい!

大津市(膳所)の弁護士の安田です。

弁護士や司法書士以外の人が個人の借金問題を解決する方法を書いた本などを読むと、自己破産は最終的な手段と書かれていることがあります。

本当にそうなのでしょうか?

自己破産は最終的な手段?

例えば、私がFP試験の勉強に使った日本FP協会の古いテキストには、以下のようなことが書かれています。

カードローンなどの借り入れを重ねるうちに返済が困難になった多重債務の解決策としては、貸主との交渉で債務の減額や返済方法の変更などを行う任意整理、これらの話し合いを裁判所内で行う特定調停がある。

それでも返済が困難な場合には、民事再生手続を申し立てる方法や、最終的な手段として自己破産を申し立てる方法がある(下線は筆者)。1

私自身、このテキストを読んだときに、「?マーク」を付けて読み進めた記憶があります。

確かに、お金を貸している側からすれば、借金を返さなくてもよくなる自己破産は最後の手段であってほしいと思います。

実際に「債務の弁済が可能な一定の収入がある場合には破産手続開始申立てを却下すべき〔中略〕等の議論がある」2ようです。

法律に自己破産は最終的な手段とは書いていない!

しかし、法律に「自己破産は最終的の手段」と書いてあるわけではありません。
今の法律では自己破産は他の手段が使えない場合にしか使えないと定められているわけではないのです。
最近は、いわゆる過払金が出ることはほぼなく、任意整理で借金問題を解決することが難しくなっています。
最高裁判所が出している司法統計によれば特定調停の利用は非常に少ないです。
ですので、個人の方の債務整理の手段としては、自己破産と民事再生(個人再生)が主なものになると思います。

「破産」という言葉より、「民事再生」という言葉のほうがイメージがいいようには思います。
しかし、破産法第1条は「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的」としていると定めています。
つまり、個人の破産も生活の再生を目的としているのです。

ご相談頂き適切な手段を選択して下さい!

それぞれの手段には長所と短所があります。
借金を返せなくなった方には、それぞれのご事情があると思います。
ご事情を詳しくお聞きしないと適切な手段はわかりません。

借金を返せなくなった方には、その方に合った適切な手段を選択して頂きたいと思っております。
滋賀で借金問題でお困りの方はご相談下さい!

  1. 「2020-2021年度版 CFP®資格標準テキスト ライフプランニング・リタイヤメントプランニング第2版」(NPO法人日本FP協会、2020年8月18日)70頁 ↩︎
  2. 「倒産法改正150の検討課題」(全国倒産処理弁護士ネットワーク、金融財政事情研究会、2014年11月5日)97頁 ↩︎