個人の方の自己破産(同時廃止事件)について

滋賀の弁護士の安田です。

ここでは、自己破産のうちの管財(かんざい)事件と同時廃止(どうじはいし)事件の区別や同時廃止事件の手続の流れなどについて、
かんたんにご説明いたします。

いきなり管財事件とか同時廃止事件というむずかしい言葉をつかいましたが、
自己破産をするうえで知っておいていただきたい言葉です。

できるだけかんたんにご説明したいと思いますので、お付き合い下さい。

 

自己破産とは

破産手続といいますのは、債務者(さいむしゃ、借金を抱える人)の財産を売ってお金に換えて、
そのお金を債権者(さいけんしゃ、お金を貸した人)に配当(支払い)する手続です。

この手続を、債務者が申し立てる場合を自己破産といい、債権者が申し立てる場合を債権者破産といいます。

個人で破産する方の場合には、財産があまりないことが多いので、財産を売ってお金に換えて、債権者に配当することは少ないです。

個人の方の場合、自己破産の申立てをすると同時に、免責(めんせき)の申立てを行います。

免責とは、責任を免れるということで、その正確な意味は説明が難しいのですが、
かんたんに申し上げると、借金を返済しなくてもよくするということです。

ふつう、個人の方が自己破産の申立てをする目的は、
裁判所に免責許可決定を出してもらうことになります。

ですから、個人の方の破産手続というのは、

自己破産手続+免責手続

と考えて頂くのがわかりやすいと思います。

 

管財事件と同時廃止事件

破産手続においては、債務者の財産を売ってお金に換えて、そのお金を債権者に配当するわけですが、
これをするうえで重要な役割を担当する人を破産管財人(はさんかんざいにん)といいます。

滋賀県内の方の破産事件であれば、通常は滋賀県内の弁護士が破産管財人に選ばれます。

この破産管財人がつく破産事件を管財事件といいます。

債権者に配当するほどの財産が債務者にない場合などには、
破産手続開始決定と同時に破産手続を廃止するので、破産管財人がつかないことになります。

これを同時廃止事件といいます。

管財事件の場合には、破産管財人の報酬が必要になることや手続に時間がかかることなどから、
同時廃止事件の場合よりも、お金がかかります

どういう場合に同時廃止事件になり、管財事件になるかについては、
滋賀では大津地方裁判所の基準がありますので、
この基準で判断されることになります。

 

同時廃止事件の手続の流れ

現在の大津地方裁判所において、
個人の方の自己破産事件の多くは同時廃止事件となっております。

以下では、同時廃止事件の手続の流れを5つに分けて、かんたんにご説明いたします。

①申立て準備

②破産(同時廃止)申立て

③破産手続開始決定+破産手続廃止決定(同時廃止決定)

④免責許可決定

⑤免責許可決定の確定

①については、早く進む方もいらっしゃいますし、時間が掛かる方もいらっしゃいます。

②から⑤までの期間は、4か月間ぐらいです。

 

①申立て準備

貸金業者などの債権者に通知を送って、債権者からの請求をストップします。

申立てをするには、資料を集めて書類を作成しなければなりません。

どういう資料が必要になるかを判断するには、ご事情(職業・家族構成・財産など)をお聞きする必要があります。

お聞きした内容にもとづいて資料を集めていただきます。

また、借金が増えていった事情や家計収支表(家計簿)などを書いて頂いたりもします。

私の場合、何度か事務所に来て頂き打ち合わせを行いながら、申立て準備を進めていきます。

 

②破産(同時廃止)申立て

申立て準備が整った後、裁判所に書類などを出して破産(同時廃止)申立てを行います。

その後、裁判所で書類のチェックが行われて、裁判所から追加資料などを出すよう求められたりしますので、
それに対応します。

 

③破産手続開始決定+破産手続廃止決定(同時廃止決定)

無事裁判所のチェックをクリアできれば、
裁判所が、同時廃止決定を出し、
債権者から免責についての意見を聞く期間を設定します。

そして、同時廃止決定がでたことや氏名・住所などが官報にのります。

インターネット版官報というものがありますので、直近30日分の官報にのった情報は、
インターネットで見ることができます。

もっとも、毎日の官報の内容をチェックする人は少ないとは思います。

なお、裁判所のチェックの結果、
同時廃止事件として申立てをしても、管財事件とされることもあります

 

④免責許可決定

債権者が免責についての意見を出すことはあまりありません。

裁判所は、よほどのことがない限り、同時廃止決定の2か月後ぐらいに免責許可決定を出します。

そして、免責許可決定がでたことや氏名・住所などが官報にのります。

 

⑤免責許可決定の確定

そして、通常は、免責許可決定が出た1か月後ぐらいに免責許可決定が確定します。

これで自己破産手続が終了ということになります。

 

申立てを行う裁判所

基本的には、お住まいの場所によって、以下の3つのうちのどこかの裁判所に申立てを行うことになります。

①大津地方裁判所本庁(大津市京町)

大津市・草津市・守山市・栗東市・野洲市・高島市・甲賀市・湖南市にお住まいの方

②大津地方裁判所彦根支部(彦根市金亀町)

彦根市・犬上群・愛知郡・東近江市・近江八幡市・蒲生郡にお住まいの方

③大津地方裁判所長浜支部(長浜市南呉服町)

長浜市・米原市にお住まいの方