1つの銀行に1000万円以上の預金をし続けないほうがいい

 滋賀の弁護士の安田です。

 私は、滋賀県内で弁護士として交通事故や相続といった案件を取り扱っております。

 弁護士業務では、交通事故や相続といった案件が解決した場合に、依頼者の方の銀行口座に大金が入金されたりします。

 そのような場合には、1つの銀行に1000万円以上の預金をし続けないほうがいいです。

全額が返ってこない可能性がある

 銀行にお金を預金した場合に、銀行は預かった全てのお金を金庫で保管していません。 

 銀行はお金を必要としている会社や人にお金を貸したりしています。

 ですが、基本的に、預金者全員が同時に預金の払い戻しを請求することはありません。

 そのため、全てのお金を金庫で保管しておかなくても、銀行は預金の払い戻しに対応できます。

 しかし、銀行の経営が上手くいかなくなり、銀行が預金の払い戻しに対応できなくなることもあります。

 2023年にアメリカのシリコンバレー銀行が経営破綻したことは大きなニュースになりました。

 日本でも2010年に日本振興銀行が経営破綻しました。

預金保険制度

 そこで、金融機関が破綻した場合に、預金者の保護等をする預金保険制度があります。

 銀行は、預金保険機構に毎年保険料を払っています。経営破綻にそなえてお金をたくわえているわけです。

 さきほどの日本振興銀行は、経営破綻した際に、預金保険機構の管理下に置かれることになりました。

 もっとも、預金保険制度でも、定期預金や利息の付く普通預金といった一般の方がよく利用されている預金は、預金者1人当たり、1金融機関ごとに合算され、元本1,000万円までと破綻日までの利息等しか保護されません。

 つまり、1つの銀行に1000万円以上の預金をすると全額が返ってこない可能性があるのです。

 従いまして、1つの銀行に1000万円以上の預金をし続けないほうがいいのです。

 1000万円以上の預金をされるのであれば、複数の銀行に預金を分けたほうがいいということになります。 

決済用預金は保護されるが外貨預金は保護されない

 もっとも、利息のつかない普通預金である決済用預金であれば、預金保険制度によって全額が保護されます。利息がもらえない代わりに全額保護してもらえるというわけです。

 私は弁護士業務でお金をお預かりする際の預り金口座を決済用預金口座にしております(通帳には、「普通預金<決済用預金>」や「決済用普通預金」といった文字が印字されています)。

 万が一、私が預り金口座を開設している銀行が経営破綻しても、お金は全額保護されることになります。

 

 なお、預金の中には外貨預金のように預金保険制度の対象にならない預金もあります。

 くわしくは「預金保険機構」のウェブサイトをご覧下さい。

預金は緊急資金の置き場所に適している

日本FP協会が発行している「くらしとお金のワークブック」では、緊急資金として生活費の3か月分~1年分を備えておくことをすすめています。

1か月の生活費が20万円なら60万円~240万円ということになります。
60万円と240万円では全然金額が違いますね。

ですが、経済評論家の山崎元氏の「お金に強くなる!ハンディ版」(2015年、ディスカヴァー・トゥエンティワン)49頁には、「生活費の2~3ヶ月分程度を生活防衛資金として置いておくのがおすすめです。」と書かれています。
これに対して、「家庭の金銭学」(2021年、金融財政事情研究会、原著:リック・イーデルマン、日本語版:方波見寧)の89頁には、「皆さんのキャッシュリザーブ(緊急予備資金)は、毎月の支出額の12ヵ月分は最低限確保しておくべきです。できれば24ヵ月分が望ましいところです。」と書かれています。
従いまして、専門家の間でも、緊急資金としていくら置いておくべきかについては意見が分かれるのだと思います。

預金は手軽に引き出しができます。

緊急資金の範囲の金額であれば、生活費が高額な人でない限り、預金保険制度で保護されます。

タンス預金では利息が付きませんが、預金なら少しは利息が付きます。

従いまして、預金は緊急資金の置き場所に適しているといえます。

結論

1つの銀行に1000万円以上の預金をし続けないほうがいいですのですが、利息が付かなくても1つの銀行に1000万円以上の預金をしたいということであれば、決済用預金口座にするのもありだと思います。